ひとひらのことのは

退院してから数日で喉の痛みや排尿痛は消えました。採取部位の痛みも1週間ほどで感じられなくなりました。アルコールも退院してから3日で解禁です。これは退院する時に先生に一番に確認しました(笑) 手術前も含めて10日間ほど禁酒していたのですが、今まで生きてきてこんなに長くアルコールを取らなかったのは初めてでした。禁酒明けのビールは本当においしかったです。

入院していた時の食事のカロリーが低かったのと禁酒のおかげでしょうか、退院する時には体重が1キロくらい減っていました。その後も順調に体重が減って、今では入院する前に比べて体重が約3キロ減りました。いいことをして体重まで減るとは嬉しい限りです。

退院して約3週間後に血液検査がありました。ほぼ術前の状態に戻っているとの先生のお墨付きをいただきました。今ではすっかり術前と変わらない状態で、骨髄を提供したことが嘘のようです。

骨髄提供を終えての感想ですが、骨髄を提供して本当に良かったと思います。自分が骨髄を提供することで、人の命を救うことが出来るかもしれないのです。そういう経験はなかなか出来るものではありません。上にも書いたように手術後に痛みがあったりしますが、しばらくすれば消えます。しかし、骨髄を提供したという事実は消えることがありません。これからも骨髄を提供したということを誇りに思って生きることが出来るでしょう。

さて、熊本の骨髄バンクのドナー登録者ですが、残念ながら全国平均を遙かに下回っています。人口比では下から2番目の少なさです。人口がほとんど変わらない三重県に比べて登録者数は1000人も少なく、人口が熊本より60万人も少ない大分県と登録者数がほとんど変わらないのです。平成17年度の人口10万人あたりの献血量では熊本県が全国トップですから、こうしたことに関心がないわけではないのでしょう。不思議な話です。

骨髄を提供する場合、入院時に支度金として5,000円が支給されるのと、検査や入退院時に交通費が支給される以外には金銭が支払われることはありません。アルバイトやパートの方は休むことが収入減に繋がるので、骨髄の提供を躊躇される方もいらっしゃると思いますが、こういった方をサポートしてくれる保険もあります。一例ですが、プルデンシャル生命の保険に加入していると、骨髄を提供した場合に入院給付金日額の20倍が手術給付金として支給されます。
プルデンシャル生命保険株式会社ホームページ(骨髄ドナー登録支援)

みなさんも一度骨髄バンクのホームページをご覧になってみてください。一人でも多くの方が骨髄バンクに登録されるよう願っております。

今回で骨髄移植顛末は最終回です。最後までお読みいただき有り難うございました。


朝起きると体温の測定がありました。36度4分で、ほぼ平熱です。まだ骨髄の採取部位には痛みがありますし、喉にも違和感があります。

8時に朝食を済ませ、9時にまた体温の測定がありましたが、今回も36度4分でした。血圧も最低血圧が若干低めでしたが、そう普段と変わりはありません。我ながら丈夫な体です。

10時半頃に看護師さんが巡回に来られて、採取部位に貼っているガーゼをばんそうこうに交換しました。手術翌日なのに、採取部位に貼るのが普通のばんそうこうというのも妙な感じです。

採取部位の痛みが気になりつつも、本を読んだりテレビを見たりしていると、あっというまに12時になり、昼食が運ばれてきました。

昼食を済ませ、ゆっくりしていると、1時頃に看護師さんが体温と血圧と血中酸素濃度を測りに来られました。1時半頃に手術を担当された先生がいらして、退院するかどうかを尋ねられました。まだ採取部位や喉は痛かったのですが、日常生活に支障があるわけではないので、退院したいと答えておきました。

先生が検査結果を検討された後、2時頃に退院の許可が出たので、荷物を片付けて3時頃に退院しました。病棟を出て歩いていたら、手術当日に担当してくれた看護師さんとすれ違ったのですが、「もう退院されるんですか!」と驚かれていました。そう思われるのも当然で、手術の翌日に退院した人は、骨髄を提供した人の中でも1割もいないそうです。

長いようで短かった3日間の入院生活でした。


つづく


午後4時を過ぎると、点滴の輸液(生理食塩水)がなくなったので、点滴の針を抜いてもらいました。寝返りの時に針を気にしなくていいのはいいですね。

その後、しばらくしてからカテーテルを抜いてもらいました。抜いてもらう時はけっこう痛かったです。病室内を歩くのは構わないのですが、病室外に出るのは禁じられていたので、尿瓶(しびん)を渡されました。あまり使いたくはないのですが、こればかりは仕方がありません。

5時頃にコーディネーターさんがやってきて、翌日に退院することが決まりました。予定では翌々日の退院になっていましたが、天候の関係でで翌日の退院に変更になりました。

6時になると、夕食が運ばれてきました。朝食と昼食を食べていないので、24時間ぶりの食事です。食事が出来るということは幸せなことですね。おいしくいただきました。

8時過ぎだったと思いますが、ようやくおしっこが出ました。何とピンク色です。これにも驚きました。排尿痛もあったので、おそらくカテーテルを尿管に出し入れした時に尿道を傷付けていて、その血が混じったのでしょう。医学的知識は持ち合わせていないので、あくまでも推測ですが。

手術が終わってから何回か検温がありましたが、ほぼ平熱でした。骨髄提供後に発熱する人も多いようですが、わたしの場合は大丈夫だったようです。丈夫な体を授けてくださった神様と、丈夫な体に産んでくれた両親に感謝です。

こうして手術当日の夜は更けていきました。


つづく

※骨髄提供の手術後は意識が朦朧(もうろう)としていたので、はっきりと覚えてないところもあり、順序が怪しいところもありますが、どうかご了承ください。


目を覚ますと、「手術、終わりましたよ。」との声が聞こえました。今の麻酔はすぐに目が覚めるようです。これには驚きました。

それからストレッチャーで元の病室に運ばれました。これからの2時間くらいが本当にきつかったです。まだまだ麻酔が完全に切れておらず、まるで金縛りにかかったかのようでした。体が鉛のように重く、頭もまともに働きません。声を出そうと思っても、途切れ途切れにしか出ないのです。もどかしくてしょうがありませんでした。喉のあたりにも痛みがあります。これは手術時に、気管に麻酔ガスと酸素を送り込む管を挿入したためです。

口には酸素マスクが付けられているのですが、花粉症なのにマスクを付けないというくらいマスクが苦手なので、これは本当にわずらわしかったです。それに、尿道には導尿カテーテルを入れられていましたが、ずっとおしっこをしているような感じがして、早くカテーテルを抜いてほしいと思っていました。腕には点滴の針も刺さっています。

2時間ほどすると、麻酔がある程度は体から抜けたようで、少しは体も動かせるようになってきました。すると、今度は骨髄を採取した場所の痛みが気になるようになってきました。痛みと言っても刺すような痛みではなく、鈍い痛みです。というわけで、仰向けに寝るのが辛かったので、横を向いていました。

このころになると酸素マスクを付けているほうが逆に苦しかったので、看護師さんに酸素マスクを外すようお願いしました。すると、看護師さんは血中酸素濃度を測定して、酸素が十分に足りているということで、酸素マスクを外してくれました。これでだいぶ楽になりました。

しばらくしてから、看護師さんがT字帯(ふんどし)をわたしの持ってきた下着に替えてくれました。まだまだだるさが続いていたので、恥ずかしいも何もありませんでした。


つづく


手術の前日は寝付いたものの、夜中に何度か目を覚ましました。やはり緊張しているのでしょうか。

あまりよく眠れないまま7時頃目を覚ましました。7時10分頃に、看護師さんが体温と血圧と血中酸素濃度を測定に来ました。今日は担当の看護師さんがお休みなので、別の看護師さんが担当されました。

絶食絶飲なので、もちろん朝食もなしなのですが、思ったよりもお腹は空きません。

しばらくすると、ストレッチャーが運ばれてきました。いよいよ手術だなという感じです。その後に手術着に着替え、下着をT字帯(要するにふんどし)に着替えました。

8時過ぎに筋肉注射を打たれました。これが結構痛いとのことでしたが、思ったほどではなかったです。この筋肉注射には精神の緊張を和らげる安定剤や、唾液などの気管分泌物を出にくくして挿管をしやすくする薬が入っているようです。

9時頃に手術室に入ることになり、ストレッチャーに乗せられました。その日付き添いをしてくれた母によると、その前に10分ほどうとうとしていたようですが、私自身にその記憶はありませんでした。

ストレッチャーに乗せられ手術室に向かいます。子供の頃に手術を受けた時には手術室に入る前に消毒室に入れられた記憶があります。SF映画に出て来るような感じでした。そういったわけで、今回も消毒室に入るのだろうなと思っていたら、何とそのまま手術室に入りました。これには驚きましたが、別に切開したりするわけではないので、採取部位の消毒だけでいいということなのでしょう。

手術室に入ると何人かの先生や看護師さんがいました。手術室はかなり古めかしい感じです。ドラマの「白い巨塔」に出てきた綺麗な手術室とは全然違うなと思ってしまいました。麻酔科の先生がやってきて、マスクを口に当てると、急激に眠気が襲ってきました。抵抗できない眠気というのもあるのだなと思っているうちに意識を失いました。


つづく


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