ひとひらのことのは

「きょうの発言」第8回

平成20年11月28日

「きょうの発言」第8回を転載いたします。


「イチハラヒロコ恋みくじ」

山崎菅原神社には「イチハラヒロコ恋みくじ」という一風変わったおみくじがある。このおみくじは、言葉や文字を使って作品を作る現代美術作家のイチハラヒロコさんと、大阪・布忍神社の宮司である寺内成仁さんが共同で創作したものだ。おみくじと現代美術という意外な結び付きに興味を持ち、三年前から当社でも、このおみくじを置くようにした。

このおみくじには、吉凶は書かれておらず、格言のような短い言葉が大きな文字で書かれているだけだ。「このおみくじはどう解釈すればいいのですか?」と聞かれることも多い。そこで、「このおみくじには大吉や凶はありません。言葉の意味を自分で読み解くおみくじなのです」とお話しすることにしている。

このおみくじには「お気の毒。」や「別れそう。」と書かれたものもあり、それらを引いてがっかりする人も多い。しかし実は、「あなたは今とても幸せなのに、それに気付いていないことが気の毒だ」という意味かもしれないし、二人の恋を邪魔する人と決別できる、という意味かもしれない。おみくじに書かれている言葉をどう解釈するかは、自分次第なのだ。

「言霊」という言葉があるように、日本では古くから、言葉には不思議な力が宿ると信じられてきた。このおみくじはシンプルだが、それだけに言葉そのものの持つ力が心に強く響くように思える。

おみくじは決して予言ではない。大吉を引いたからといって、必ずいいことが起きるわけではないし、逆もまたしかりである。おみくじの吉凶に一喜一憂するだけでなく、言葉の持つ深い意味を感じ取り、自分を見つめ直すきっかけにしてほしい。そして、ご自分にとって、よりよい道を選んでいただければと思う。

(平成20年2月26日付の熊本日日新聞夕刊より転載)


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