ひとひらのことのは

「きょうの発言」第2回

平成20年02月17日

「きょうの発言」第2回を転載いたします。


「消防団活動」

県内各地で消防団の出初め式が行なわれている。今回は参加できなかったが、私が所属している熊本市消防団でも三千二百人の消防団員が参加して、十三日に開かれた。

私は地元の慶徳校区の分団で活動している。奉職する神社には、戦前に消防団員が奉納した牛の石像などが今も残っており、自分が消防団員になったのも何かの縁だと思っている。同じ分団にはテレビなどでおなじみのタレント、山内要さんも所属している。

さて、この消防団だが、全国的に見ると団員が最盛期の半分以下に減少している。また、団員の高齢化も問題となっている。私の分団も定員を満たしておらず、三十四歳の私が分団の中で最年少である。

消防団員が減少した理由の一つに、団員の負担が大きいことが挙げられる。昼夜を問わない出動、火災予防週間期間中や年末の夜警、消火活動の訓練などに多くの時間を割いている。活動中にけがをしたり、命を落とすことさえある。

このことから、「犠牲的奉仕団体」とも呼ばれる消防団であるが、時には心無い声を聞くこともある。夜警中に消防車から火災予防を呼びかけると、「うるさいので静かにしてくれ」と苦情が出たり、「消防団員は酒ばかり飲んでいる」と言われたりすることもある。こうした声を聞くと正直憤りを感じる。出勤前や休日に訓練を行ない、深夜でも電話が鳴ると飛び起きて出動する団員のことを、彼らは少しでも想像したことがあるのだろうか。

消防団の活動は決して楽ではないが、やりがいのある仕事である。団員は誇りを持って地域のために取り組んでいるので、皆さんも温かい目で見守ってほしい。また、一人でも多くの人に消防団に入団していただければ幸いである。

(平成20年1月15日付の熊本日日新聞夕刊より転載)


「きょうの発言」第1回

平成20年02月04日

ここ最近更新が滞っており、申し訳ございませんでした。今日は立春ですが、まだまだ寒さは和らぐ気配がないようです。インフルエンザなども流行っているようですので、みなさんもお体にはお気を付けください。

さて、1月より地元紙である熊本日日新聞の夕刊の「きょうの発言」欄にて、火曜日掲載分を執筆しています。夕刊を見ることが出来ない方のために、新聞に掲載された文章を転載したいと思います。第2回以降も転載する予定です。


「宮中祭祀」

あけましておめでとうございます。皆さんはもう初詣には出掛けられただろうか。今年の三が日は厳しい寒さにもかかわらず、私の奉職する神社にも多くの方が初詣にお見えになった。

さて、多くの人が眠りに就いている元日の早朝に、「四方拝」という儀式が皇居の神嘉殿(しんかでん)南庭にて行なわれていることをご存じだろうか。天皇陛下が五穀豊穰(ほうじょう)や国民の無病息災を願い、伊勢の神宮や山陵、四方の神々を遥拝される。このような皇室が行なう「宮中祭祀(さいし)」と言われる祭儀は、四方拝から大晦日の「大祓(おおはらい)」に至るまで、恒例のものだけでも年間に約二十件が行なわれている。

鎌倉時代に順徳天皇が朝廷の儀式や作法を記した「禁秘抄」の冒頭に「およそ禁中の作法、先(ま)づ神事、のちに他事」とあるように、歴代の天皇は祭祀を重んじできた。その伝統は今も受け継がれている。

皇室の公務が報じられることは多いが、こうした宮中祭祀が取り上げられることはめったにない。その理由の一つに、憲法の政教分離という原則から、宮中祭祀が皇室の私的行事とされていることがある。しかし、国民の無事を願う儀式にまで政教分離を問う必要があるのかと思う。

諸外国に目を向けても、完全に政教分離を行なうことは難しい。私が留学したフランスは政教分離が徹底しているが、それでも、「復活祭」など祝日の多くがキリスト教由来だ。しかし、生活に根ざした宗教は、文化や伝統と不可分だと肌で感じたので、それを疑問には思わなかった。

世界では戦火も絶えず、いまだ独裁者もいる中、国の象徴である天皇が国の平和や国民の幸せを祈る伝統を、私たちは誇りに思っていいのではないだろうか。

(平成20年1月8日付の熊本日日新聞夕刊より転載)


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